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ごみ溶融施設
1 施設概要
処理能力 | 197t/日(98.5t/日×2炉) |
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処理方式 | シャフト炉式ガス化溶融炉 |
竣工年月 | 平成27年3月 |
受入供給設備 | ピット・アンド・クレーン方式 |
溶融炉設備 | シャフト炉式 |
燃焼設備 | 旋回燃焼方式 |
燃焼ガス冷却設備 | 廃熱ボイラ方式 |
灰処理設備 | 薬剤処理方式 |
排ガス処理設備 | 消石灰吹込、活性炭吹込、ろ過式集じん器、アンモニア吹込、触媒反応塔 |
余熱利用設備 | 蒸気タービン発電(抽気復水タービン) 4,270kW小牧市第1老人福祉センター及び小牧市温水プールに熱源供給 |
溶融物処理 | 水砕・磁選式 |
灰処理設備 | 薬剤処理方式 |
2 処理フロー
ごみ溶融施設では、燃やすごみとごみ破砕施設から発生する破砕残渣を燃焼・溶融処理します。本組合では、処理方式として「シャフト炉式ガス化溶融炉」を採用しています。施設全体の処理の流れは次のとおりです。
燃やすごみやごみ破砕施設で発生した破砕残渣物は、ごみピットで貯留した後、ごみクレーンにてガス化溶融炉に投入されます。
ガス化溶融炉に投入されたごみは、熱分解され、可燃物は熱分解ガスとなり炉上部より燃焼室に送られます。また、ガス化した後の残渣は、燃焼帯、溶融帯を通過し溶融され出湯口から出てきた溶融物は水で急冷することにより砂状のスラグと粒状のメタルになることで再資源化されます。
熱分解ガスは、燃焼室で完全燃焼され、ボイラで冷却後排ガス中に含まれるばいじん、塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、ダイオキシン類等の有害物質を除去し煙突から排出されます。
排ガス処理設備のろ過式集じん器から排出された集じん灰は、集じん灰貯留槽に溜められ、その後、外部排出されます。ボイラから発生する蒸気は、蒸気タービンで発電に使用されます。
発電した電力は施設内で利用され、余剰分は電力会社に売電しています。さらに、小牧市温水プール及び小牧市第1老人福祉センターにも熱供給をしています。
3 各設備の解説
受入供給設備
受入供給設備は、ごみの計量から溶融炉への投入までの設備で、プラットホーム、ごみピット、ごみクレーン等で構成します。
プラットホーム
プラットホームは、ごみ投入扉、ダンピングボックスなどを設置した車両搬入出スペースです。ごみ収集車は、プラットホーム入口扉からプラットホームに進入し、ごみ投入扉からごみを直接投入します。直接搬入車は、ダンピングボックスを使ってごみをごみピットに投入します。臭気対策として、プラットホームの入口は二重扉とするとともに、ごみピット内の空気を、燃焼空気として強制的に吸引することで、プラットホーム内の臭気が外部に漏れないようにしています。
ごみピット
ごみピットは、収集ごみ、直接搬入ごみ、リサイクルセンターからの破砕残渣を貯留するもので、ごみの受入量の変動を吸収するとともに、炉が休止した場合のごみの貯留も行います。
ごみクレーン
ごみクレーンは、ごみピットの投入スペース確保のための積替え、ごみの均一化を図る撹拌、溶融炉へのごみ供給を行う装置です。溶融炉のごみレベル計からの投入要求信号により、溶融炉のごみ投入ホッパにごみを投入します。
ガス化溶融炉
シャフト炉式ガス化溶融炉は、製鉄用高炉の技術を応用したもので、ガス化溶融炉本体でごみを熱分解・ガス化から溶融まで行います。ガス化溶融一体方式または直接溶融炉とも呼ばれます。
ごみは、炉上部からコークス及び石灰石と共に投入します。投入されたごみは、炉上部から乾燥・予熱帯、熱分解ガス化帯、燃焼帯、溶融帯を経て、炉底部に配置した出湯口から溶融物として排出されます。
乾燥・予熱帯では、ごみ中の水分が蒸発します。
熱分解ガス化帯では、可燃物は熱分解ガスとなり、発生した熱分解ガスは、炉上部より後流の燃焼室に送られ完全燃焼します。
ガス化した後の残渣は、コークスとともに燃焼帯、溶融帯を通過していき、酸素富化した空気を炉下部に配置した羽口より吹き込むことにより、高温で燃焼し完全に溶融されます。
出湯口から排出された溶融物は、水で急冷することにより、砂状の溶融スラグと粒状の溶融メタルになります。
燃焼室
燃焼室は、溶融炉内で発生した熱分解ガス及び可燃性ダストを完全燃焼させる設備です。
燃焼室には、溶融炉内で発生した熱分解ガスを燃料とするメインバーナを配置し、同箇所に空気を吹込み熱分解ガスの高温完全燃焼を行い、ダイオキシンを分解します。また、補助燃焼装置を、メインバーナの近傍に設置し溶融炉立上げ操業時の燃焼室昇温用及び助燃用として使用します。
ボイラ
ボイラは、燃焼室より生じる高温の燃焼ガスを所定の温度まで冷却し、蒸気を発生させる設備で、ボイラと関連の付帯機器類で構成されます。ボイラで発生した飽和蒸気は過熱器を通過して過熱蒸気となり、高圧蒸気だめを経由して蒸気タービン、プラント用蒸気等に使用します。
ろ過式集じん器
ろ過式集じん器は、排ガス中のばいじんを除去するとともに、前段で消石灰・活性炭を吹込むことにより塩化水素及び硫黄酸化物、水銀の除去を行う装置です。ろ布は、耐熱・耐酸性繊維を使用して、ばいじんの払落としに対しても耐摩耗性、屈曲特性に優れたものを使用しています。
触媒反応塔
触媒反応塔は、複数層に充填した触媒に排ガスを通過させることで、排ガス中のNOxを分解する装置です。NOxを分解するための還元剤として、アンモニア水を気化し、排ガス中に注入する装置を設けています。また、排ガス中のダイオキシン類も分解除去します。
蒸気タービン
蒸気タービンでは、ボイラで発生した高圧蒸気の駆動力により発電機を回転し発電を行います。
また、蒸気タービンで使用した蒸気の一部を取り出し熱源とし、場外余熱利用施設(小牧市温水プール、小牧市第1老人福祉センター)へ熱供給(温水)を行っています。
溶融物処理設備
水砕ピット
水砕ピットは、溶融炉から排出される溶融物を、水砕水循環ポンプで圧送した水流で急冷し、砂状の溶融スラグ及び粒状の溶融メタルを製造する装置で、水砕ピットに沈降した溶融スラグと溶融メタルは内蔵のコンベヤで排出します。
磁選機
磁選機は、ドラムの中に磁石を設置した装置で、溶融スラグと溶融メタルをドラムに接触するように切り出し、ドラム本体のみを回転させて、溶融メタルをドラムに磁着させ(溶融スラグは磁着しないため落下)、磁界の働いていない箇所で溶融メタルを落下させることで溶融スラグと溶融メタルを分離します。
スラグバンカ・メタルバンカ
溶融スラグ・溶融メタルは、それぞれスラグバンカ・メタルバンカで一時貯留し、ダンプトラックに積載し、施設外に搬出し、資源化します。
溶融スラグ
溶融メタル
集じん灰処理設備
ろ過式集じん器で集められた集じん灰は、集じん灰無害化装置にて重金属溶出防止のための薬剤を添加・混練し無害化した後、最終処分場へ搬出され埋立処分されます。
また、集じん灰を山元還元処理により再資源化を行うため、集じん灰を未処理のままジェットパック車に切り出す集じん灰積出し装置も設けています。
排ガス処理のしくみ
(1)硫黄酸化物(SOx)及び塩化水素(HCl)の低減対策
排ガス中SOxとHClは、集じん器前の煙道に吹き込む消石灰(Ca(OH)2)の中和作用により基準値以下に除去します。
Ca(OH)2 + SO2 → CaSO3 + H2O
Ca(OH)2 + 2HCl → CaCl2 + 2H2O
(2)ばいじん及び重金属類低減対策
排ガス中のばいじん及び重金属類は、集じん器のろ布で基準値以下まで分離・捕集します。捕集されたばいじん及び重金属類は、溶融飛灰として溶融飛灰処理設備で適切に処理します。
(3)窒素酸化物(NOX)低減対策
排ガス中のNOXは、触媒反応塔前の煙道にアンモニア(NH3)を吹き込み、触媒を通すことで基準値以下に分解します。
4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2O
NO + NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O
(4)ダイオキシン類の低減対策
排ガス中のダイオキシン類は、燃焼室で熱分解ガスを完全燃焼させ、ダイオキシン類の発生を抑制します。また、集じん器入口に吹込む活性炭の吸着作用により、排ガス中のダイオキシン類を除去します。さらに、排ガス中に残されたダイオキシン類は脱硝設備の触媒作用により酸化分解し、ダイオキシン類の排出量を最小限に抑制します。
集じん器構造説明図
触媒反応塔構造説明図