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排ガス中ダイオキシン類の排出基準超過について
2022年08月10日
小牧岩倉エコルセンターごみ溶融施設1号炉において、排ガス濃度分析(JIS K0311)を行った結果、ダイオキシン類について、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排出基準(0.10ng-TEQ/㎥)及び『小牧岩倉衛生組合環境センターの環境保全に関する条例』第3条に基づく公害防止計画の協定基準値(0.010 ng-TEQ/㎥)を超過する値(0.31ng-TEQ/㎥)を検出しました。
この事態を重く受け止めるとともに、皆様方には、多大なご心配とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。再発防止の徹底を図り、安全で安心な施設の運用に向けて全力をあげて取り組んでまいります。
なお、1号炉と2号炉はごみの投入口から煙突出口まで別系統となっています。
経過
令和4年5月9日(月) | 1号炉(煙道)にて排ガス中ダイオキシン類の検体採取 |
令和4年7月25日(月) | 分析結果判明。排出基準超過に伴い1号炉運転停止 愛知県尾張県民事務所等に報告 |
令和4年7月27日(水) | 2号炉運転停止 愛知県尾張県民事務所による立入調査 |
令和4年8月1日(月)~8月2日(火) | 1号炉・2号炉臨時点検(設備確認) |
令和4年8月9日(火) | 環境センター管理委員会(※1)に報告 2号炉運転再開 |
令和4年8月10日(水) | 愛知県尾張県民事務所に改善計画書を提出 |
※1:「小牧岩倉組合環境センターの環境保全に関する条例」第4条の規定により設置
平成27年度以降のダイオキシン類測定結果(単位:ng-TEQ/m3)
溶融炉 | 1号炉 | 2号炉 | ||
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年 | 月 | 測定結果 | 月 | 測定結果 |
平成27年 (2015) |
6月 | 0.00015 | 5月 | 0.000000070 |
7月 | 0.000000030 | 8月 | 0.000000096 | |
11月 | 0.00015 | 11月 | 0.00088 | |
平成28年 (2016) |
1月 | 0.00015 | 3月 | 0.00065 |
5月 | 0.00066 | 6月 | 0.00000048 | |
7月 | 0.00036 | 9月 | 0.00000092 | |
10月 | 0.000051 | 11月 | 0.00095 | |
平成29年 (2017) |
1月 | 0.0000023 | 2月 | 0.000086 |
5月 | 0.0000012 | 4月 | 0.0000015 | |
8月 | 0 | 7月 | 0.00000077 | |
10月 | 0.00044 | 11月 | 0.00000052 | |
平成30年 (2018) |
1月 | 0.00063 | 2月 | 0.000000051 |
4月 | 0 | 5月 | 0 | |
8月 | 0.00015 | 7月 | 0.00000078 | |
10月 | 0.000000060 | 11月 | 0.00092 | |
令和元年 R01 (2019) |
2月 | 0.00013 | 1月 | 0.000095 |
5月 | 0.0016 | 4月 | 0.00023 | |
8月 | 0.00039 | 7月 | 0 | |
11月 | 0 | 10月 | 0 | |
令和2年 (2020) |
1月 | 0.000000048 | 2月 | 0.0000014 |
5月 | 0.00000098 | 4月 | 0.000042 | |
7月 | 0.000000048 | 8月 | 0.000056 | |
11月 | 0.00000019 | 10月 | 0.00000014 | |
令和3年 (2021) |
2月 | 0.000000039 | 1月 | 0.000034 |
4月 | 0.0079 | 5月 | 0.0024 | |
8月 | 0.000044 | 7月 | 0.000011 | |
10月 | 0.00017 | 11月 | 0.000000030 | |
令和4年 (2021) |
1月 | 0.00096 | 2月 | 0.000000018 |
5月 | 0.31 | 4月 | 0.0085 |
[用語の説明]
ng:ナノグラム(重さの単位)、1ナノグラムは10億分の1グラム
ng-TEQ/㎥ :標準大気1立方メートル(㎥)中に、毒性の強い2,3,7,8四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの毒性量に換算等量(TEQ)として1ng(ナノグラム)のダイオキシン類があることを示します
原因
検体採取日前後の運転記録を検証しましたが、温度管理データの不具合は確認されませんでした。
運転停止後、プラントメーカー等による現場点検を実施しましたが、設備不具合は確認されませんでした。
また、排ガス濃度測定においては、過去の結果からダイオキシン類と塩化水素の測定結果には相関関係があることが確認できますが、今回の結果は、ダイオキシン類のみ測定値が高く、塩化水素の測定値は通常範囲内であり、相関関係が見受けられませんでした。
現時点では、原因を明確に特定できるには至っておりません。
再発防止策
原因の特定に至らない中ですが、対策を強化してまいります。
- ろ過式集じん機手前で吹き込む活性炭について、吹込量を増量します。
- 触媒反応塔では、主にセラミックを材料とする触媒(4段)により排ガス中の窒素酸化物及びダイオキシン類を化学反応で分解する処理を行っています。この触媒については段ごとに経年期間に差がありますが、段の順序入替えや5段目増段を行います。
- ごみ質の偏りを避けるため、ごみピットにおいて、ごみを今まで以上に撹拌したのち、投入口にごみを投入します。
- 施設の運転に携わる職員に対し、操作マニュアルの徹底や安全意識向上などの取り組みを強化します。
- ダイオキシン類の排ガス測定について、当面の間、運転中1か月に1度の割合に回数を増やして実施(1号炉・2号炉とも)します。
健康に対する影響について
健康に対する影響については、施設建設時の環境影響評価調査及び生活環境影響調査と同様の手法により評価し、次のとおりとなりました。
小牧岩倉エコルセンター周辺における大気中ダイオキシン濃度について
ダイオキシン類を含む排ガスは、煙突から大気中に排出されることで希釈されます。今回の排出源濃度を『建設時の生活環境影響評価調査報告』に記載されている最大着地濃度の方法で計算すると0.0198pg-TEQ/㎥(注)となります。また、バックグラウンド濃度(元々大気中に存在するダイオキシン類の濃度)0.120pg-TEQ/㎥を含めて計算すると最大着地濃度は、0.14pg-TEQ/㎥となり、国が定める環境基準0.6pg-TEQ/㎥を下回っています。
大気中からのダイオキシン類の摂取量
小牧岩倉エコルセンター周辺大気中のダイオキシン類濃度0.14pg-TEQ/㎥を体重50㎏ の人が1日に15㎥呼吸したとして計算すると、ダイオキシン類の摂取量は0.042pg-TEQ/㎏/日となり、国が定める耐用1日摂取量(ダイオキシン類を人が生涯にわたって摂取したとしても健康に影響を及ぼす恐れがない摂取量)4pg-TEQ/㎏/日を下回っています。
(注)pg:ピコグラム、1pg=1兆分の1グラム、1pgは1ngの1000分の1